ジョン・ラスキン John Ruskin
(1819-1900)
19世紀イギリスの思想家、美術評論家。 思想面ではウィリウム・モリスに影響を与え彼の思想から影響されたアーツアンドクラフツ運動やその後の運動家の精神的支柱となった。 ラスキンの思想は「芸術と職人がいまだに未分化の状態にあり、創造と労働が同じ水準に置かれていて、人々が日々の労働に喜びを感じていた時代」を理想とし、その元を中世ゴシック時代の建築に求めました。 ラスキンは中世ゴシック建築と作られた社会背景とを関係づけて論じたなかで、当時の物は、正しくつくられ、物への心からの愛着があったと述べており、中世社会自体によき精神が育まれていた結果が物に現れたと考えました。
この様に考えるのは、西洋社会に広がっているキリスト教では、神が造った創造物の形に無駄があるはずがないと考えられていましたが、当時は工業化初期の時代で、工業化から生み出されていた製品は粗悪でしたが、本来生み出される物には無駄がないはずですから、粗悪で有り無駄があるのは当時の人間の思想、行動がよくないものであり、無駄がなかった中世ゴシック時代の建築にはよき物が表れていた反映であると考えたのでした。 著作は1850年前後に執筆した『建築七燈』『ヴェニスの石』が有ります。 美術の分野でジョセフ・ターナーを評価し、ラファエロ前派を擁護したことは有名です。 |
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