ペーター・ベーレンス Peter Behrens
1868-1940
20世紀初頭、第一次世界大戦前間のドイツの指導的建築家、インダストリアルデザイナー。
デザイン近代化を規格化による機械生産により進める方法を推進したインダストリアルデザイン史上、重要人物。 青年期(1897年頃)に、ドイツのアールヌーボーと言えるミュンヘンのユーゲントシュティルに参加しアーツアンドクラフツ運動、ウィリアム・モリスの影響を受ける。1899年にヘッセン大公エルンスト・ルートヴィヒが計画したダルムシュタット芸術コロニーに招かれ活動する。 1903年ドュセルドルフ工芸学校校長を務め、06年にベルリンのアルゲマイネ電気会社(AEG)社から、製品の造形的処理を委託される。やがて依頼は製品の改良や、販売のためのパンフレット制作等に広がり、07年には同社社長エーミル・ラーテナウにより社の芸術顧問に招かれ、工場の建築設計から製品のデザイン、販売のためのグラフィック・デザインを手がける。ベルリンのタービン工場はコンクリート、スティール(鉄)、ガラスといった近代材料を使い連築設計、デザインを施したドイツ建築の近代化を告げる画期的な建築物となった。これらベーレンスの仕事はインダストリアルデザインの走りとなり、画期的な事態であった。
1907年には芸術を近代工業に導入し産業を向上させる運動へと繋がるドイツ工作連盟に参加。彼のAEGでの活動と工作連盟(ヴェルクブント)の活動は類似であったため、ミスターヴェルクブントと呼ばれるほど中心人物として活動し、ドイツ近代デザインを方向付けた。 またベーレンスの設計事務所には、ヴァルター・グロピウス、ル・コルビュジエ、ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエなど次世代の巨匠を排出し、後の建築潮流の源を作った。 |
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